ゼミの概要

演習の目的とフィールド

日本語教育学は、〈第二言語として日本語を学ぶこと・教えること〉について考えることがその領域です。フィールドは教室だけでなく、学習者の置かれた社会や時代そのものでもあります。

したがって、ことばと人(学習者、教師など)が現れる「場」に対する視点も重要になります。

上田ゼミではこれら日本語教育に関する問題を考え、そのプロセスをことばで的確に人に伝える力を育成することを目指しています。

ただし<外国人とのコミュニケーション能力>が目的ではなく、それを通じてあらゆる人と人との間をつなぐことについて、考える場でありたいと思います。

授業の進め方

演習は学生の積極的な参加がなければ成立しません。学期毎に必ず〈あなたが担当する発表〉があります。基本的に授業は次の要領で進めます。

  1. テーマ選択
  2. 文献等の調査
  3. 資料の検討・情報整理
  4. 口頭発表
  5. フィードバック

3年前期は、まず〈日本語〉に関する基本的事項を確認することから始めます。後期は教材分析や教材開発の実践を試みます。それと並行して基本的な調査方法(データ収集・分析方法等)を学びます。

4年では、関心のあるテーマに沿って、各自卒論研究に入ります。前期にはゼミ内で各自の研究中間報告、後期には中間報告会(予定)があります。

研究テーマ

上田ゼミ生らは、これまで以下のようなテーマで卒論研究を行いました。

  • 教室の中:コース・デザイン、授業計画、教材分析、教授法など
  • 教室の外:言語と社会、異文化接触、異文化コミュニケーションなど
  • 学習者等:第二言語習得、学習ストラテジー、コミュニケーション能力、学習者要因など
  • ことば・コミュニケーション:音声学、語彙の変遷、漢字の音訓、擬音語・擬態語、若者ことば、ノンバーバルコミュニケーション、比較文化など

学習者・教育現場との出会い

このゼミでは、日本語学習者や教育現場と接点を持つことを奨励しています。ビジター・セッション(訪問者の受入・交流会)や日本語学校訪問の機会を通じて日本語学習者と出会い、ゼミ生自らが日本語や日本語教育に関する洞察力を育てていくことを目指しています。フィールドに行って、見て、感じて、考えること、それが大切です。

毎日使っている〈日本語〉を手がかりにして、私たちは世界中の人々とどのように関わり合うことができるのか、そのためにどのような力を育てていくことが必要なのか。それを考えてほしいというのが、ゼミ活動を通じて私が学生の皆さんに期待することです。